先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数と香港ハンセン指数は揃って反落となりました。上海総合指数は週初、軟調なスタート。中国保険監督管理委員会の主席が重大な規律違反の疑いで取り調べを受けているとの報道で、当局が金融市場の監視を強化する可能性があるとの見方が台頭したことや、中国証券監督管理委員会の劉主席が株価をつり上げるため配当を利用している企業があると指摘したことが市場心理を悪化させました。しかし、11日(火)は反発し、上海総合指数は終値ベースで1年3ヶ月振りの高値に。この日は北朝鮮が新たな核実験やミサイル試験を行った場合に中国と韓国が北朝鮮に対し強力な措置を講じることで合意したとの報道から、軍事関連が株価を牽引。また、李克強首相が香港の次期行政長官との間で本土と香港の共同開発計画を進めていくと確認したことから広東を拠点に置く銘柄も買われました。
ただ、その勢いも12日(水)以降は続かず、中国人民銀行が引き締めの姿勢を続け、中央銀行が13日連続で公開市場操作を見送ったことなどから反落。13日(木)は小反発となりましたが、14日(金)は世界的な株式市場の軟調さや地政学リスクの高まりを受けて、これまで買われていた「雄安新区」や香港、広東省、マカオの一体開発「粤港澳大湾区」の関連銘柄に利食い売りが入り相場を押し下げました。結局、上海総合指数は前週末比で1.2%マイナスの3,246.067ポイントで引けています。
一方、香港市場ですが、こちらは14日(金)がグッドフライデーの祝日のために休場で、4営業日の取引となりました。週初から世界的な地政学リスクの高まりで様子見基調の展開に。前述にあるように、中国当局が金融市場の監視を強化する可能性があるとの見方が台頭したことや、中国本土市場が軟調なことも市場心理に影を落としました。また、17日(月)がイースターマンデーとなり連休となることからも売買が手控えられた印象です。結局香港ハンセン指数は前週末比で若干マイナスの24,261.66ポイントで引けています。
中国の経済指標ですが、先週は3月のM2(前年比)が+10.6%<市場平均予想+11.1%、2月実績+11.1%>、3月の人民元の新規貸出額が2兆1,200億元<市場平均予想1兆5,000億元、2月実績1兆1,479億元>、消費者物価指数が+0.9%<市場平均予想+1.0%、2月実績+0.8%>、輸出が+16.4%<市場平均予想+4.3%、2月実績-1.3%>、輸入が+20.3%<市場平均予想+15.5%、2月実績+38.1%>とそれぞれ発表されました。また、17日(月)には3月の小売売上高(前年比)が+10.9%<市場平均予想+9.7%、2月実績+10.9%>、鉱工業生産が+7.6%<市場平均予想+6.3%、2月実績+6.0%>、第1四半期のGDPが+6.9%<市場平均予想+6.8%、前四半期実績+6.8%>と発表されています。経済指標を見る限り中国経済は堅調に推移している印象です。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)