遂に郵政民営化法案は参議院で否決されました。衆議院で可決され、参議院で否決されたのだから、この際民意を聞くべく解散・総選挙してしまおうというのは、或る意味でとても分かり易いと思います。

小泉首相が一貫して実行してきたことは我が国の構造改革です。そして彼の改革の仕方には、「人事」の部分を変えていくという所に特徴があると思います。首相になるや否や、最初に手掛けたのは派閥からの推薦閣僚人事の廃止です。全て一本釣りで自分で決めてしまうというやり方が、自民党の派閥体制というヌエのような存在を破壊してきました。今度の郵政民営化も、郵政公社職員を民間人に転換するという所に小泉首相の政策の主眼があるように思えます。
我が国最大の公務員勢力である郵政が民間化すれば、官僚を含めた全ての公務員人事にメスが入っていく。そうして我が国にとって最も大切なリソースである人材の有効活用が促される。それが彼の考え方でしょう。一方民主党は、郵政民営化に反対している訳ではなく、対案は出せませんでしたが一応民営化に賛成はしているのですが、その主眼は人材の解放ではなく、郵政に集中しているお金を民間に解放して有効活用させようという主張のように聞こえ、これは我が国にとって最も大切なりソースは人材ではなくて金であると考えているように聞こえます(或いは小泉自民以上に、郵政の組織票が必要なのでしょうか)。

実は私も以前は、民主党の「金の動きこそを変えるべし」という主張に近い考えを持っていました。しかし小泉首相の「人事」から変えていくという改革の手法を見て、こちらの方がずっと強力で、且つ効果が長く続く、本質的・抜本的な改革であると考えるに至りました。

総選挙は9月11日に行われるようです。夏場の1ヶ月の選挙がマーケットに与える影響は限定的でしょう。問題はそのあとに、継続的且つ本質的な構造改革が続く政権が就くかどうかです。今度の選挙は、久し振りに我が国の行方に大きな影響を与える選挙になる気がします