私は料理はしないのですが、料理というコンセプトは中々興味深いものだと思っています。以前に女性指揮者の西本智美さん(御存知の方も多いと思いますが、女性で、しかも日本人で、2002年にロシア・ボリショイ交響楽団ミレニウムの首席指揮者に就任し、2004年にはチャイコフスキー財団・ロシア交響楽団、芸術監督・首席指揮者に就任された方です。大阪弁の気さくな方です。)とパネルで御一緒した時に、会場の方の質問に答えて、オーケストラを指揮するのは料理に似ていると、彼女は言っていました。色々食材があって、例えば全部まとめて炒め物にして、新しい料理を作る。各楽器や演奏者のことを食材に例えた訳です。思うに経営も同じでしょうか。
濃い味のソースで全てをくるんでしまう料理もありますが、やはり秀逸な料理は素材の特性や味を活かしたものでしょう。素材によっては下ごしらえをする。そのまま使えるものもあれば、予め形を少々変えなければいけないものもある。一つ一つの素材の主張を助長しつつも、全体のバランスを考えて、味の強弱の調整が必要な場合もある。いい食材を見極めて調達するのもシェフの仕事です。そして同じ食材でも、グラン・シェフが料理をするのと凡人が料理するのとでは、天と地ほどの差が出ます。
私は未だ修行が足りませんが、出来ることならグラン・シェフになって、各食材のためにも、お客様のためにも、レストランのオーナーのためにも(即ち社員、お客様、株主のために)、いい仕事がしたいものです。