報道によると、中国政府が自国の株式市場を救済するために150億ドルの基金を創ることを検討しているそうです。中国株式市場は長期低迷に苦しんでおり、上海・深セン市場の株価は4年前の半額近くまで落ちています。但しこれはあくまでも上海・深セン、いわゆる中国本土の話であり、香港の話ではありません。例えば当社で販売している投信「HSBCチャイナオープン」は香港株の組み入れが90%以上であり、3年半前の設定来の騰落率もプラス65%となっています。

さて話を本題に戻しますが、これは中々ややこしい話です。上海・深セン市場の時価総額は50兆円程度ですから、この基金の規模はマーケット全体の3%を超えるものです。同比率を日本に当て嵌めると10兆円を超えます。りそなの救済に使われた公的資金が2兆円ですから、これは巨大であり、流石にインパクトがあるでしょう。しかし一方、上海・深セン市場が売られてきた最大の理由は需給の悪さであり、それは即ち上場企業の大株主である州政府等が恒常的に株式を放出してきたからです。

「公的」の売りによる値崩れを「公的」が支える。どこかの国でかつて聞いたような、今一つ格好の悪い話です。しかし中央政府としては、中国への投資熱を冷めさせないために必死なのでしょう。或いは国全体の冨のバランスがあまりにも大きいので、中央から地方への冨のトランスファーによって、そのインバランスを若干でも直す効果があるかも知れません。巨船中国の操縦は、パイロットも大変なことでしょうネ。