MWは、つぶやきの中では「オットー(皇帝)」の別名で登場したこともあります。前職の米投資銀行で、私の所属していた部署の共同ヘッドであり、会社全体のトップ5にも入る、とてもシニアな上司でした。前職は生き馬の目を抜くウォール街の会社ですから、まさに映画に出てくるような「とてもキビシイ」マネージャーは多くいましたが、MWよりもキビシイ人を私は知りません。
彼はオランダ人でしたが、東京に出張で来ても、いつも会うと開口一番「アー・ユー・メイキング・マネー?」と言うので、オランダでは「ハウ・アー・ユー?」の替わりにそう言うのか、「儲かりまっか」と同じでオランダはヨーロッパの大阪ではないか、等と言う同僚もいました。

そんな彼がある時カナダ・オフィスとコンフェランスコールをしました。オフィスの収益性が悪いので、何かしらのリストラをするのではないかという憶測がカナダ側には流れていました。カナダオフィスの電話の前には、オフィスの責任者を含めてシニア・マネジャーが4人ほど並び、戦々恐々としていました。MWは次から次にキビシイ質問をしました。カナダ側は段々興奮してきて、遂に顔を真っ赤にしてこう言ったそうです。

「あなたはカナダビジネスにコミットしてないのか!」。

MWは冷静に答えました。

「勿論カナダビジネスにはコミットしている。人を替えることによって。−"Of course I am commiitted to the Canadian business by changing people."−」。

カナダ側「・・・」。

真っ赤な面々は、一瞬にして真っ青になったとのこと。ウォール街のシニア・マネジャーとは、斯くもキビシイのです。