先週の中国株ですが、上海総合指数は続伸、深セン総合指数は反発、創業板指数と香港ハンセン指数は続落となりました。上海総合指数ですが、海外の株式市場が米国の大統領選挙に対する不透明感や12月の利上げ懸念から調整基調となる中でじり高基調が続いており、11月4日(金)は一時、16年8月につけた過去半年間の一時高値を更新しました。週明け10月31日(月)は国有銀行の不良債権の引当カバー率が基準を大幅に下回ったことや原油価格の下落によって石油株が軟調な動きになったことから4日続落からのスタートとなりました。
しかし、11月1日(火)は10月の中国公式製造業景況感指数が51.2と市場予想の50.3や9月の50.4を大きく上回ったことと、Caixin製造業購買担当者景気指数も51.2と市場予想や9月実績の50.1を大きく上回ったことが好感されて反発。これに加え深港通(深セン市場と香港市場の相互株取引制度)のテスト運用が行われるとのニュースも好感されました。2日(水)は利食い売り先行で反落となったものの、3日(木)は10月のCaixinサービス業購買担当者景気指数が52.4と発表され、9月の52.0から改善し、6月の過去1年間の最高値52.7に迫っていることが市場心理を改善させ反発。人民元が下げ止まったこともプラスに評価されました。4日(金)は一時大きく値を伸ばしたのですが、高値圏では利食い売りに押されて小反落となり、上海総合指数は前週末比で0.7%高の3,125.317ポイントで引けています。
一方で香港ハンセン指数は欧米の株式市場が軟調であることの影響を強く受け、11月1日(火)は前述のCaixin製造業購買担当者景気指数などが予想を上回ったことから押し目買いが入って反発となったものの、それ以外の日はすべて前日比で下落となっており、香港ハンセン指数は前週末比1.4%安の22,642.62ポイントで引けています。
緩やかな人民元安は中国の輸出拡大につながり中国経済にとってプラスとなることや、中国政府が財政出動を実施するとしていることなどから中国経済自体は堅調であり、海外の資金アクセスが制限されている上海総合指数はじり高基調が続いています。一方、香港市場は欧米の株式市場の影響を強く受けている様子です。香港ハンセン指数については、米国の大統領選でトランプ候補が勝利した場合、世界的なリスクオフの流れから一段安となる可能性はあります。しかし、前述のように中国経済自体は堅調ですので、もしも急落する場面があれば買いを検討できるとも思います。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)