先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反発、香港ハンセン指数は反落となりました。上海総合指数は週初10月10日(月)に大幅上昇からスタート。これは、いくつかの条件が重なっています。まず、人民元が6年振りの元安水準に進んだことがあります。更に、連休中、海外市況が比較的堅調に推移したことや、国慶節の連休中に不動産価格の上昇を抑える規制策がいくつか発表されたことで、不動産市場から株式市場に資金が流入するのではないかとの期待感もありました。11日(火)も李克強首相が第3四半期の中国の経済成長が予想を上回り、雇用が改善したと述べたことが市場心理を支え続伸となっています。その他、中国聯合網絡通信(00762)の親会社が、国有企業に民間資本を参加させる「混合所有制」を柱とする政府の国有企業改革の対象に選定されるかもしれないとの報道で大きく上昇し、国有企業改革への期待が高まりました。
12日(水)~14日(金)は好材料・悪材料が共に出て、横ばいの動きとなっています。12日(水)には中央銀行が公開市場操作で1,650億元の資金を市場から吸収したことが市場心理を冷やし、13日(木)は9月の中国の貿易統計が予想以上に弱い結果となるなどのマイナス材料が出ました。一方で、14日(金)は官民パートナーシッププロジェクト(PPP)の第3弾リストが発表されてインフラ関連株が買われました。結果として上海総合指数は前週末比で2.0%の上昇となっています。なお、9月の中国の貿易統計ですが、輸出が前年同月比-10.0%<市場平均予想-3.3%、8月実績-2.8%>、輸入が-1.9%<市場平均予想+0.6%、8月実績+1.5%>となっています。
一方、香港ハンセン指数は週初から軟調な展開となりました。10日(月)は重陽節の振替で休場だったのですが、11日(火)は特に大きな材料が出た訳でもなく、欧米株式市場の好況を受けプラスからのスタートだったのですが、年初来高値に迫る株価位置にあったことで利食い売りに押されて前日比マイナスで引けました。12日(水)と13日(木)は原油価格が軟調だったことから石油関連株が下落したほか、人民元安が中国からの資金流出を招くのではないかの懸念が拡がったこと、13日(木)に発表された9月の中国の貿易統計が弱かったことから続落に。14日(金)は香港ハンセン指数が50日移動平均線を割り込んでいたことなどから押し目買いが入り反発となりましたが、上値は抑えられる形で上ヒゲをつける日足になっています。なお、この日には中国の9月の消費者物価指数が発表されていますが、+1.9%と、市場平均予想の+1.6%、8月実績の+1.3%を共に上回る結果となって中国経済が好調であるとの見方につながり、株価にもプラスに働きました。
香港ハンセン指数は50日移動平均線上にあり、これを押し目として反発するのか、それとも下げ続けるのかの分かれ目にあると思います。中国経済は、9月の輸出が予想以下であったものの、人民元安、財政出動の拡大などで好調を継続できる見通しで、中国本土株も足元は堅調な推移となっています。一方で、米国株は大統領選挙を前にボラティリティーが高まっており、上下どちらに振れるのか微妙なところと思います。香港株は中国本土株、米国株の双方の影響を受けますので、両方を良く見て、上昇・下落どちらのトレンドになっていくのかを慎重に判断していく必要があると思います。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)