日本には懲罰的賠償金という概念が基本的にありません。経済犯罪などが行われた時、懲役・禁固などの刑は無いか軽く、賠償金も不当利得を返還させるのが一般的です。すると捕まっても「儲け損ねる」だけですから、経済犯罪は後を絶ちません。刑事政策的に、懲罰的賠償金というのは抑止効果があるでしょう。

どのくらいの懲罰的加算が必要かというと、仮に犯罪の検挙率が10%だとすると、懲罰的賠償金を不当利得の10倍にしても、それでも期待値としてはチャラですから、抑止力を持たせるためには検挙率の逆数よりも大きな倍率の懲罰を与えないといけないことになります。しかしそれでは持てる者に対しては抑止力がありますが、持たざる者に対しては効果が限定的です。すると懲役・禁固刑などを検討する必要が出て来ます。

一般に日本に於いては、資本市場に関係する罪に対する罰が甘いという感想を私は持っていますが、立派な資本主義国家になるためには、この議論は一度は避けずにきちんとされるべきだと思います。