アメリカの大統領選が、更に近づいてきました。もうニュースをどこかで読まれた方も多いでしょうが、アイオワ大学はIEMという「小型ナンデモ先物市場」を運営しており、ブッシュが勝つかケリーが勝つかというマーケットも開いています。ブッシュが勝つと1ドル貰えるというコントラクトが60.8セント、ケリーが勝つと1ドル貰えるコントラクトが39.5セントで取引されており、両者の開きは21.3セントにもなります。一方で、CNNの世論調査によると、ブッシュ支持が52%、ケリー支持が44%となっており、両者の支持率の差は8%です。勝つと総取りのマーケットと、元々の支持率との間に、13%以上もの開きがあることになります。これは中々興味深いことです。恐らく、「支持率は僅差だが、最終的に勝つのはブッシュだろうから、賭けるならブッシュにしておこう」というトレーダーの心理が表れているのでしょう。選挙制度自体が、ちょっとでも勝てば総取りという仕組みになっていますし、前回の大統領選では国民レベルでの得票数は民主党の方が多かった訳ですから、選挙とは本当にナマモノだと思います。資本市場ではかつて、先物は善玉か悪玉か等という議論がなされたことがありますが、将来の結果の予想を見せることによる効能というのもあるでしょう。例えばこのチャート:
http://128.255.244.60/graphs/graph_Pres04_WTA.cfm
IEMのブッシュ対ケリー先物市場の値動きですが、これを大勢の人が見ると、おそらく民主党への投票が増える、即ち現在の選挙の動向に対して牽制が機能するのではないでしょうか。もう一つ思うことは、このチャートの値動きの激しさを見ると、ひと言口を滑らすだけでも情勢は逆転しかねないでしょう。これから2週間、目が離せないですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。