先週の中国株ですが、上海総合指数と創業板指数は反発、深セン総合指数と香港ハンセン指数は続伸と、揃って強い相場展開となりました。上海総合指数ですが、週初から堅調な展開に。8日(月)は恒大集団(03333)が万科企業(02202)のA株を発行済み株式の4.68%購入したニュースが万科企業(02202)の株価を継続して引き上げ、不動産株全般が堅調な動きとなりました。続く9日(火)も7月の消費者物価指数が1.8%<市場平均予想1.8%、6月実績1.9%>、卸売物価指数が-1.7%<市場平均予想-2.0%、6月実績-2.6%>となったことから、景気減速への懸念が後退し、工業株が上昇して相場を牽引しました。
10日(水)と11日(木)は一進一退の展開となりましたが、12日(金)は1ヶ月ぶりの大幅上昇。この日は7月の鉱工業生産が6.0%増と市場平均予想・6月実績の6.2%増を下回ったことや、小売売上高が10.2%増とこちらも市場平均予想の10.5%増や6月実績の10.6%増を下回ったこと、また、中央銀行が公開市場操作で供給超過に転じたことから金融緩和への期待感が膨らみ、銀行株や不動産株が大きく上昇し、相場を牽引しました。上海総合指数は週間では前週末比で2.5%高となり、4月につけた年初来高値更新が視野に入りつつあります。世界的な株価高傾向はもちろんですが、人民元安がジワジワと中国経済に効いてきていることや、当局が金融緩和への動きを示唆していることなどが株価を支えていると見られ、突発的な出来事が起こらなければ、引き続き緩やかな株価上昇が期待できる局面と思います。
一方、香港株も週を通じて強い動きとなり、年初来高値を更新しました。相場を牽引したのは工商銀行(01398)などの中国本土の銀行株です。割安さが見直されて買いが入り、大幅高となりました。HSBC(00005)や中国移動(00941)、テンセント(00700)などの時価総額上位銘柄の動きも堅調です。また、11日(木)には香港取引所のCEOが深港通の開始が間近であるとメディアへのインタビューでコメントしたことを受け、証券株や香港取引所(00388)も上昇しました。香港株の躍進も根本的な背景には、中国経済の人民元安による加速と中国の金融緩和への期待があると思います。これに加えて、米国の利上げ見通しの後ろ倒しや深港通への期待感があり、こちらも引き続き堅調な相場が続くことを期待出来る局面と思います。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)