先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は続伸、香港ハンセン指数は反落となりました。上海総合指数ですが、週初の4日(月)に大幅高となり2カ月ぶりの高値を更新。英国のEU離脱に伴う影響は中国には限定的であるとの見方が引き続き強まったことや、中国証券監督管理委員会(CSRC)の主席が深港通(深センと香港の相互株式取引制度)のスケジュールについて、具体的な日付は特定できないものの、年内には開始出来るとコメントしたこと、人民元安が当局の制御下で続く中で輸出回復への期待感が増してきたことなどが材料となっています。

上海総合指数は5日(火)も続伸で3,000ポイントを回復。この日は中国人民銀行が景気の下支えのために預金準備率の引き下げを行う可能性があるとの報道があり、金融緩和への期待が膨らみました。6日(水)も堅調に推移。7日(木)は中国の銀行の不良債権比率が2%を超えたとの報道が市場心理を悪化させて小反落。さらに8日(金)は利食い売り圧力に押された他、当局が輸出促進のために人民元の下落を容認しているとの見方が強まり、中国からの資金流出懸念が台頭し続落となりました。最後の2日間は下落となったわけですが、上海総合指数は週間では前週末比+1.9%と堅調な株価推移が続いています。この最も大きな背景は、おそらく適度な元安が続いていることで、中国の輸出が回復するのではないかとの期待感が広がっているためと思います。8日(金)はこれが中国からの資金流出懸念につながっていくのではないかとの見方も拡がりましたが、現在のところパニック的な様子には一切なっておらず、たとえば中国の銀行間金利は非常に落ち着いた推移となっています。

一方、香港株も週初の4日(月)は続伸でスタート。欧米市場の株価が堅調であったことや、前述の深港通への期待、米国の利上げ見通しが遠のいたことなどが材料でした。ところが5日(火)と6日(水)は英国の不動産ファンド取り引き停止のニュースなどによって世界的に英国のEU離脱に伴う経済減速懸念が再発したことで急反落。7日(木)は世界市場の反発と共に反発したものの8日(金)には原油価格の下落によって石油株が主導する形で反落。週間の香港ハンセン指数は前週末比で1.1%の下落となりました。

今週の見通しですが、先週末の米国株が雇用統計で力強い数字が出たことから大幅上昇となったことや、人民元安が適度な水準で停滞していることから、中国経済の回復期待で中国本土株、香港株共に堅調な流れとなるのではないかと思います。なお、今週発表予定の中国の経済指標ですが、13日(水)に6月の輸出<市場平均予想-5.0%、5月実績-4.1%>と輸入<市場平均予想-6.2%、5月実績-0.4%>が、15日(金)までに6月の中国経済全体のファイナンス規模<市場平均予想1兆1,000億元、5月実績6,599億元>がそれぞれ発表されます。経済全体のファイナンス規模ですが、4-5月は第1四半期に対して引き締め気味の数字となっていたことで、再び加速するのか、それとも引き締め傾向が続くのかに注目が集まります。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)