先週の中国株ですが、上海総合指数は続落、深セン総合指数と創業板指数は反発、香港ハンセン指数は反落となりました。上海総合指数ですが、4月25日(月)は堅調な中国の経済指標を背景に、追加景気刺激策への期待が後退する雰囲気の中で、商品取引所が原材料取引の抑制策を出して素材株が下落したことや中国本土証券会社の2016年第1四半期の決算が優れないことが嫌気され、軟調なスタート。26日(火)は当局の買い支えや年金資金流入の期待感から下がったところで拾う動きが出て小反発となったものの、出来高は低調な状況が続きました。
27日(水)は小反落。この日は3月の中国工業企業利益が発表され、11.1%増と2月の4.7%減から急回復。本来は好材料のはずですが、ここ数週間の雰囲気通り、逆に景気刺激策への期待感が後退して市場心理を悪化させる結果となりました。また、この日も商品取引所が先物取引の投機抑制を強化したことから素材株が下落し、相場の足を引っ張りました。28日(木)と29日(金)も日銀が予想外に追加金融緩和を発表しなかったことや5月2日(月)がメーデーで休場となるために売買が手控えられたこと、中国石油天然気(00857)の2016年第1四半期の業績が上場来初の赤字になるなど石油企業の業績が思わしくなかったことなどから続落となりました。
一方、香港株ですが、4月28日(木)までは日米の金融会合の結果を控え、様子見基調の中、一進一退の動きで横ばいでしたが、29日(金)に急落という形になりました。まず25日(月)は原油価格が再び軟調な動きとなったことや中国の銀行の不良債権が拡大する可能性があるとの大手証券会社からのレポートが出たとの報道で小幅続落。26日(火)は中国本土株が反発したことや欧州の株式市場が堅調なスタートとなったことから小反発。27日(水)はテンセント(00700)などIT関連株が売られて小反落となりましたが、28日(木)には原油価格の上昇で石油株が牽引し、小反発といった具合です。しかし、29日(金)は日欧米の株式市場が軟調な動きとなったこと、また中国本土株同様、5月2日(月)がメーデーの振替休日で休場となるために売買が手控えられたことから大幅下落となりました。
これまでも指摘してきたように中国の経済指標は2015年後半からの金融緩和政策や景気刺激策が効いてきたために、良い数字の発表が続いており、おそらく当面は良い数字の発表が続くのではないかと思います。ただ、株価はそれを先にそれをある程度織り込んだと見なされ、逆に良い経済指標で景気刺激策への期待感が後退し、株価が下がる原因になっているという状況が続いています。香港株はその影響を受けながらも、日欧米の株式市場や金融政策の影響も受けているといった状態です。当面はこの状況が続く可能性がありますが、ともあれ、中国の経済指標は良い数字の発表が続いているだけに日欧米の株式市場が上昇に転じることができれば、中国株も全体的に上昇基調へと戻ることが出来ると考えます。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)