広辞苑第五版によると、魔女狩とは、
(1)中世から近世初期のヨーロッパで、諸国家と教会とが異端撲滅と関連し て特定の人物を魔女に擬し、これを糾問する魔女裁判を行い、焚刑に処した こと。17世紀前半が全盛期。
(2)比喩的に、異端分子と見なす人物に対して権力者が不法の制裁を加える こと。
とあります。昨日、米上院軍事委員会の公聴会で、イラクの兵器調査団を先週辞任したケイ前団長が、「イラクの大量破壊兵器所有問題は魔女狩であった」と証言しました。イラクが生物・化学兵器などの大量破壊兵器を持っていた証拠はなく、CIAを始めとしたほとんど全ての専門家が判断を誤った、というのです。
大量破壊兵器所有に関する疑問については、昨年4月11日のつぶやきにも書きましたが(WMDでサイト内検索すると容易に読めます)、恐れていた懸念が現実化しました。CIAの在り方、英米の戦争開始への見切り発車の仕方などが再び問題視されていくでしょう。
一方で、「フセインは悪者であることは分かっている。しかし証拠がない。証拠さえ見せてくれれば、我々はもちろん銃を持って一緒に戦う。」と主張した大陸ヨーロッパ諸国の理屈は再評価されるでしょう。米大統領選にも影響を与えることでしょう。或る程度織り込み済みであった、昨日はFOMCのステートメントが将来の金利上昇を或る程度示唆するものであった、などの理由から今のところドルは売られていませんが、やはりドルの信認は低下し、今後少なからずドル安への圧力が掛かり得るでしょう。
思いこみは危険であり、謙虚な態度は大切です。勇気と傲慢は違います。但しアメリカのいいところは、こういったことがこうもあっけらかんと白日の下に晒され、早期に牽制を受けて改善され易いということです。人は間違える。だからこそ開示することは最も重要です。今回のことは、色々と学ぶべきことが多いと思います。