殆ど行く時間もありませんが、私は美術館が好きです。国立美術館のようなものもいいですが、個人や財団による所有の、個人のテイストで造られた美術館の中に、特に好きな美術館がいくつかあります。蒐集品に一貫した審美眼があり、建物の造り、陳列の仕方、館員の態度などにも一つの意思が脈々と流れているように感じられ、空気にまで独特の個性が備わっているように感じます。一つの小さな小宇宙とでも言いましょうか。東京ではブリヂストン美術館や根津美術館、ニューヨークではフリック・コレクションなどが好きです。ボストンにイザベラ・ガードナー・ミュージアムといういい美術館がありましたが、いつだったか美術品が大量に盗まれたか傷付けられたというニュースを聞いたきり、その後のことは知りません。このような美術館の違いに似たものは、書店にもあると思います。とにかく何でも置いてある書店と、店主の目が行き届いている店。やはり何事も意思があった方が良いですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。