殆ど行く時間もありませんが、私は美術館が好きです。国立美術館のようなものもいいですが、個人や財団による所有の、個人のテイストで造られた美術館の中に、特に好きな美術館がいくつかあります。蒐集品に一貫した審美眼があり、建物の造り、陳列の仕方、館員の態度などにも一つの意思が脈々と流れているように感じられ、空気にまで独特の個性が備わっているように感じます。一つの小さな小宇宙とでも言いましょうか。東京ではブリヂストン美術館や根津美術館、ニューヨークではフリック・コレクションなどが好きです。ボストンにイザベラ・ガードナー・ミュージアムといういい美術館がありましたが、いつだったか美術品が大量に盗まれたか傷付けられたというニュースを聞いたきり、その後のことは知りません。このような美術館の違いに似たものは、書店にもあると思います。とにかく何でも置いてある書店と、店主の目が行き届いている店。やはり何事も意思があった方が良いですね。