昨日、株式市場の活性化に必要な視点につき書かせて頂きましたが、もう一つ、長期的な観点からは極めて重要なことがあります。それは少子化問題の解決です。もし日本が、今後着実に人口が減り続けていく国ならば、株価の展望はそれほど明るくないと言わざるを得ないでしょう。モチロン輸出や投資によって、人口が減り続ける国であってもある程度の経済成長をすることは可能です。しかしそれにも限界がある筈です。何故なら、一般に経済の6、7割を占めるのは、個人消費であるからです。我が国の家は、兎小屋と揶揄嘲弄されたぐらいですから、人口を増やさなくてもいいと思います。しかし、或る一定の水準で人口は維持しないと、やはり経済が収縮していき、活気のない国となり、株価も低迷するでしょう。
年金問題の長期的な解決も、少子化の解決にしかあり得ません。今はそれどころではないのでしょうが、この問題は極めて重要であり、このようなことを全て網羅した上で、50年後にどのような国を築くのかというようなロードマップが、もっと日本には必要な気がします。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。