ようやく総選挙が終わりましたが、マーケットの方はイマイチでした。この選挙の結果をどう解釈すべきか、まだ消化出来ていないのでしょうか、或いは今後の自民党内の動きとか、以前より大きな声を持てる民主党の動きを先ずは注意深く見ようということでしょうか、或いはまた選挙中一旦エンジンを止めていたので、まだエンジンが完全に掛からないという単純な理由でしょうか。しかし今回の選挙は、今後に多くの課題を残した選挙だと思います。自民党主導の政権を信任はしたが、同時に大きな第二政党・民主党を作り、一党支配に対して牽制球を投げた。世代交代が全般に進み、基本的にアンチ改革派は俎上にも乗らなかった。或る民法テレビ局の出口調査によると、比例民主に投票した人は必ずしもマニフェストに賛成している訳でもなく、例えば高速道路無料化に関しては、投票の理由にならなかったと答えた人の方が多かった、等々。私は以下のように解釈しています。−「改革」は既に完全に承認され、後戻りは許されない。これからは改革するか否かではなく、改革の内容が問われている。しかし現状の政策論争は、選挙の為のアイテムであった様相が強く、本来の政策論争になっていない。−ということではないでしょうか。願わくは、今後紙面やテレビを賑わすことが、党内のゴタゴタや、党間のなじりあいではなく、我が国の将来の為の建設的な論争であることです。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。