先日、久し振りに築地市場に行きました。早朝のテレビの後、スタッフの方々と朝御飯を食べに行ったのです。一仕事した後でも、築地には6時半頃には着きました。市場はやはり活気に溢れ、見ているだけでもウキウキしてしまいます。場内は仕事をする男達の、プロフェッショナルな凛とした雰囲気が漂い、場外はそれとは違った、より一般の人々の生活に近い暖かさというか心地良さがあり、いずれも素晴らしい空間だと思います。
場内でウニいくら丼を食べ、その後場外で軽く寿司を食べました。築地市場は英語ではツキジ・マーケット。株式市場と同じ、正真正銘のマーケットです。築地に行くといつも思うのですが、あそこにマーケットのあるべき姿の原型があります。プロとプロが食材の評価をし合い、そこに歴然としたヒエラルキーが形成され、それが更により良い食材が流入する動機になります。そしてプロの付けた値段の近い水準に、一般人も参加することが出来る。場内は業務用の運送機というか台車のような小さな自動車が動き回っていますが、一般の人も皆自己責任で自らの安全を守っています。
株式市場も、築地に負けないような活気と透明性に溢れたオープンな市場になっていかなければいけません。『そうではない』とは言いませんが、築地には学ぶべき事が多くあります。こんなことを書いていたらまた行きたくなってきました。株式市場も明日は活況でしょうか?
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。