漢字では金木犀と書きます。東京の街にはキンモクセイの匂いが漂っていますが、何故か私にはあの匂いはピンと来ません。どこかくちなしの花の匂いに似ていると思うのですが、季節感とのマッチングが悪い気がするのです。
秋と言うよりも春から夏にかけての、なま暖かい雰囲気が想起されてしまいます。しかし、それもくちなしからの連想なのかも知れません。古今集にはくちなしの香りを詠んだ歌はありますが、キンモクセイを詠んだ歌はありません。何故なら江戸時代初期に中国から渡来した樹だからでしょう。中国も南部の方だというので、秋の花とはいってももっと暖かい場所の花なのかも知れません。雌雄異株なのですが、日本のキンモクセイは全て雄株で、実はならないそうです。他国から来た、しかも片割れだけの花なので違和感を感じる、と言ってしまうと、あまりにもこじつけでしょうか。因みに中華料理屋に行くと桂花陳酒というキンモクセイから作ったお酒がありますが、あれはオン・ザ・ロックでレモンを切って入れて飲むと中々イケます。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。