漢字では金木犀と書きます。東京の街にはキンモクセイの匂いが漂っていますが、何故か私にはあの匂いはピンと来ません。どこかくちなしの花の匂いに似ていると思うのですが、季節感とのマッチングが悪い気がするのです。
秋と言うよりも春から夏にかけての、なま暖かい雰囲気が想起されてしまいます。しかし、それもくちなしからの連想なのかも知れません。古今集にはくちなしの香りを詠んだ歌はありますが、キンモクセイを詠んだ歌はありません。何故なら江戸時代初期に中国から渡来した樹だからでしょう。中国も南部の方だというので、秋の花とはいってももっと暖かい場所の花なのかも知れません。雌雄異株なのですが、日本のキンモクセイは全て雄株で、実はならないそうです。他国から来た、しかも片割れだけの花なので違和感を感じる、と言ってしまうと、あまりにもこじつけでしょうか。因みに中華料理屋に行くと桂花陳酒というキンモクセイから作ったお酒がありますが、あれはオン・ザ・ロックでレモンを切って入れて飲むと中々イケます。