原監督の辞任劇。私は巨人ファンではないので詳しくは記事を追っかけていませんが、どうも解せない点があります。事の是非とか、実際何が起きたのかについてではなく、報道のあり方についてです。
私が一般紙を読んでいた限りでは、26日の辞任発表(渡辺オーナーによると人事異動だそうですが)の前日までは、「原監督は辞任の意思はないと言っている」とか、少なくとも「渡辺オーナーもそんな話は聞いていないと言っている」と報道されていました。ところが辞任発表時に明らかにされたのは、原監督は19日に渡辺オーナーに辞表を提出していたとのことでした。このこと自体は、私はどうでもいいのですが、新聞は、少なくとも私の読んでいるいくつかの新聞は、この発言の(或いは報道の)矛盾について一切触れていません。そんなことでいいのでしょうか?新聞を読んでいる世の大人は、暗黙の了解で「酷いもんだ」と思って済むのでしょう。しかし新聞を読むのはそんなすれた大人だけではないでしょう。子供が、天下の一般紙で、前日と当日で全く違うことが書いてあって、しかも何もそのことについて言及されていないのを読み、それが世の中で通用する常識だと考えたらどうなるでしょうか。
何かを読み落としているのかも知れません(事実誤認があるのかも知れません)が、私はゾッとする気持ちを拭えません。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。