江戸名所図屏風という、寛永年間の江戸の風俗を描いた屏風を見ました。寛永年間というと17世紀前半、凡そ400年弱前に描かれた絵になります。当時の江戸の様子を知るのも楽しいのですが、一番興味を惹いたのは人物の描写方法でした。現代の漫画家がちょっとヘタウマ風に描いた、と言われてもそのまま信じることが出来るような、そんな絵でした。勿論この作者が今の漫画をまねることは出来ませんが、かと言って今の漫画家が昔の絵をまねてるとも思えません。漫画は浮世絵の影響を受けているのかも知れませんが、この屏風は浮世絵誕生以前に描かれています。恐らく日本固有の文化として、平坦でペロッとした、一筆書きのような絵を描きがちである、或いはそのように物事を認知しがちであるのではないでしょうか。このように3次元ではなく2次元にデフォルメして表現する文化は、絵だけではなく、音楽などにも共通する気がします。クラシック音楽はとても立体的で、凸凹が激しいですが、日本の古来の音楽はもっと平坦な気がします。勿論根本的な人の感情などは、東西を問わないと思いますが、どのようなカタチの中に表現するかというと、東西で随分違いがあります。議論や交渉の進め方の違いなども同様です。文化が絵や音楽を創ったのか?絵や音楽が文化を創ったのか?このようなことは既に専門的な研究があるのでしょうが、起源を探ると面白いでしょうね。