石原都知事は亀井自民党総裁候補の応援演説の中で、北朝鮮との交渉をしてきた外務審議官の自宅で不審物が発見されたことにつき、「爆弾を仕掛けられて当たり前だ」との発言をした。それに対して小泉首相は、「爆弾を仕掛けられた方は悪くない。仕掛けた方が悪いんだ。」と不快感を露わにした。
こともあろうに9・11の前日にテロを容認するような石原発言は、とんでもないことだと思う。百歩譲って、テロ、北朝鮮外交云々を横に置くとしても、やはり私はこの発言は重要な問題を孕んでいると思う。仮にも石原氏は東京都知事である。彼が言ったことは、仮に国政に関する応援演説の文脈の中であるとは言え、石原氏が個人的に悪いと思う人間の家には、それが彼の治める東京都内であっても、爆弾が仕掛けられても構わない、ということではないか。それが国政であれ都政であれ、『治安』はもっとも重要な政治の機能の筈である。石原都知事の都内の治安を省みない、都内の治安を法の規律を以てせず個人的な評価如何でないがしろにしようとする発言には、落胆を通り越して、怒りと恐怖を覚えた。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。