欧米人は現ブッシュ大統領のことを「ジョージ・W」と呼びます。父親と区別する為でしょう。彼に対する批判的・懐疑的な考えは、以前からヨーロッパでは強くありました。しかしその考えは愈々確信的になり、ヨーロッパだけでなく、アメリカに於いてもかなり広範に支持されるようになっているようです。 「ジョージ・Wは自分とアメリカだけの平和を考えており、世界の平和は二の次である。」 皆、言うのも憚れることなので、あからさまには言わないのですが、皆がこの考えを前提として議論する、そんな雰囲気を強く感じます。国全体の出力や知恵の水準を考えると、「日本は決して欧米に劣らない」と、国際会議に出る度に再確認するのですが、同時に日本国内に於ける、「議論の前提となる情報や理解の共有」の低さも再確認させられます。ホワイトハウスで何が起きているか。これはアメリカ人だけの興味の対象ではありません。しかし日本では「知らぬが仏」的な部分が強過ぎる気がします。国民性なのか、和製ジャーナリズムの問題なのか。色々な視点を持つことは、何時の時代にも極めて重要なことですが、視点を持つ為には先ず情報が必要です。情報経路の確保の大切さをしみじみと感じます。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。