お盆に入ってから株式市場が活況です。売買高が盛り返し、同時に株価も上昇しています。夏休みだというのに一体何が起きているのでしょう?
恐らく個人投資家の動きが活発になっているのだと思います。当社の店頭(と言ってもネット上ですが)も盛況です。東証の売買高を見ると、昨日も今日も後場の方が出来高が増えています。今日は前場が約6億株、後場が約8億株です。通常は前場の方が多いのにそれが逆になっています。
普段は日中働いていて相場を見られないお父さんが、お盆休みで自宅か帰省先でのんびりしている。天候も不順なので、その傾向が更に強くなっているでしょう。ゆっくり起きてきて、ご飯を食べて新聞を読むと案外景気が良くなってきている記事もちらほらある。手持ち無沙汰になって思わずネット接続すると、マーケットは夏休みの割にそこそこに売買高もあり、株価もまぁしっかりしている。そこで思わず後場から手が出る。そんな感じではないでしょうか。お盆休みで国内機関投資家が静かなのも幸いしているかも知れません。
『暇だと動く』というのは、なかなか興味深い現象です。これは投資だけでなく、消費にも言えるかも知れません。銀座を見ても、一番消費しているのは、一番忙しい人達ではないように見えます。或る程度の余裕を持たせることが、却っていい結果になることもあるでしょう。政策でこの辺りを調整するのは容易なことではありませんが、しかし意識はした方がいいでしょう。少なくともアメリカはその点を認識しているように思われます。さて明日はお盆最後の平日。株式市場もどんな展開になるか楽しみですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。