浦和レッズの福田正博選手の引退試合が、昨日埼玉スタジアムで行われた。試合は現役浦和レッズ対浦和レッズOB。5万人を超えるファンがスタジアムを真っ赤に染めたが、レッズファンにとっては、それだけ集まることに何の不思議も感じなかった。
斯く言う私も5万人分の1だった。福田はレッズファンにとっては特別な存在だ。サッカーの街、浦和の人のサッカーに対する思いが、福田に託され、福田によって昇華されてきたのだと思う。寝ても覚めてもサッカーしかしない街、浦和。何故か街中の大人までもがやたらサッカーには詳しい街、浦和。自分達が一番サッカーに近い存在だと自負しながら、どこかJリーグの優勝争いや、欧州で活躍する選手達の華やかさに、何とも言えない違和感を感じてしまう。自分達のサッカーと現代のサッカーの現実とのギャップにどこか困惑する浦和の人にとって、福田はそのギャップを埋めてくれる、唯一の、そして生身の象徴だった。外国人選手にも、各チームを渡り歩くスター選手にも埋められない何かがあった。レッズファンは、福田を媒体として、サッカーに苦しみ、サッカーに興奮し、サッカーを愛したのだと思う。「多くの成功は得られなかったけど、多くの仲間と多くのサポーターと喜び、悲しみ、同じ夢を追い続けてきたことを誇りに思います。」という福田の言葉は、木訥だが、正に言い当てていると思う。ありがとう福田。