規制をすると、余程入念に配慮されない限り、必ずと言っていいほど規制の届かない所に規制しようとした対象が逃げるといった「いたちごっこ」が起きます。これはどんな分野にも言えそうです。最近それをまざまざと実感したのは、千代田区の路上禁煙条例です。マネックスの入居しているビルは鍛冶橋という中央区と千代田区の境にある交差点の千代田区側にあります。交差点を渡った所、即ち中央区側の角の足元を見ると「ケシモク」がいっぱい落ちています。実は東京駅周辺は禁煙地域から除外されているのですが、それでもギリギリ中央区の所で、いっぱい路上喫煙がされる訳です。千代田区としてはそれでもいいのかも知れませんが、本来の趣旨には適っていないでしょう。全体を俯瞰した規制というのは斯くも難しいものです。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。