先日の塩川財務相の円安発言、今日の黒田財務官の円安容認(と取れる)発言により、俄に円ドル・レートが円安に振れています。確かに今の日本のデフレ状況や競争力低下を立て直す政策、しかも今すぐに実行することが可能な策は、円安しかないでしょう。財政の立て直しとか景気回復には、仮に有効な策が取られたとしても、相当な時間が掛かるからです。円安政策に懐疑的であった速水日銀総裁の退任時期が来年3月に迫っていることも、「遂に円安政策を取るか?」という興味をそそります。しかしアメリカは果たして円安を容認するでしょうか?アメリカの要人の発言を注意深く聞いていると答えは明らかです。構造改革を伴う円安は容認しても、構造改革の代替案としての円安は拒否されるでしょう。為替市場は静かに動き始めていますが、今が小泉内閣の正念場だと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。