昨日は中学・高校時代の美術の先生の話を書きましたが、図に乗って英語の先生のことも書かせて下さい。S先生は高校時代にアメリカに留学した経験があり、英語の発音が本場仕込みで、風貌は仲代達矢に似ており、声はドスが効いている、ちょっとカッコイイ先生でした。
阿佐田哲也さんとも一緒に麻雀を打つほどの雀師で、賭け事は滅法強く、裏の世界にも精通しているような話もよく聞かされたので、中学生の私たちには酸いも甘いも噛み分けた大人に見えました。私たちが中学1年生の頃、先生の授業がよく自習になりました。勿論正確には覚えていませんが、1年間の授業の4割ぐらいが自習だったような気がします。カリキュラムは中々消化できず、最後に端折って一気に終わらせるのですが、悪びれるでもなく、すまなそうにするでもなく、やけに毅然としていて、憧れとも尊敬とも微妙に違うのですが、見上げる存在でした。そんな先生と数年前に同窓会で会って話をしました。「先生、自習が多かったですね」と聞くと、眉をちょっと寄せて格好を付けて、昔通りの野太い声で、「あぁ、あの頃は悩んでいたんだよ」と言い放ちました。一同唖然。考えてみると当時先生はまだ30歳ぐらいで、等身大で人生と葛藤していた訳です。美術の先生といい、英語の先生といい、いい意味で人間味のある先生の多い学校でした。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。