今日は2002年11月11日、ゾロ目です。カードや牌を握る人は思わず役を考えてしまいそうですが、今日は漢詩について。
年年歳歳花相似 歳歳年年人不同
(ねんねんさいさいはなあいにたり さいさいねんねんひとおなじからず)は、唐の時代の有名な七言古詩の一句ですが、花は毎年変わらず美しいがそれを眺める人は毎年老いて変わっていく、という意味で、「老いる」という点に重心を置いて人生の無常さを歌ったものだと解釈されます。
ところで人の無常は老いだけでしょうか。「人不同」は一年の間に誰かが死んでしまうこと、一年の間に白髪が増えることなどを表しているとされます。しかし同じ人で、かつ白髪が増えなくても、「人不同」ということもあるでしょう。これは他人に対しても、自分に対しても言えます。変わらないことが必ずしもいいとは言えません。変化がなければ人は向上しないでしょう。しかし変化が常にいい方向であるとも限りません。変えるものと、変えないべきものとの明確な区別がとても大切であると、そう思います。遙か13世紀前の中国の詩人の心に去来したものが果たして何であったか、本当のところを知る術は最早ありません。