ワールドコムの38億ドル(4600億円)の粉飾決算疑惑には流石にビックリしました。費用として計上すべきものを設備投資として資産計上し、要は費用を延べて先送りしたという類の問題のようです。オーソドックスな会計操作の手法の1つでしょう。アメリカの企業会計に対する不信は当面払拭できないでしょうが、一部の論調にあるような「アメリカも大したことない。日本とさ程変わらないではないか。」と言うのはちょっと早計ではないかと思います。ワールドコムは会計『処理』の問題であり、かつ疑惑が出てきてから3ヶ月程の間に株価は1ドル未満にまで売り込まれました。即ち強制退場が間近にまで迫っています。日本ではどうでしょう?
例えば銀行の不良債権問題。償却済みと言われながら、毎半年ごとに数千億円単位で新たに償却額が増加します。これは『処理』ではなく『評価』の問題ですが、投資判断などを誤らせるという意味に於いてはどっちもどっちでないでしょうか?かつ、株価は大して売られません。退場のプレッシャーが働かない訳です。私は処理の問題よりも評価の問題の方が、根元的な価値の問題であるので、どちらか選ばなければいけないとしたら、より大きい問題のように思えますし、少なくとも問題が発覚した場合には速やかに強制退場させようとする自浄作用が働くという点において、やはりアメリカの方が進んでいるのではないかと思います。