オーストリアの最高裁判所が、ソニーの「ウォークマン」について、既にポータブル・カセット・プレイヤーの名称として普通名詞化しており商標権を認めないという判決をした、というニュースが数日前の新聞に載っていました。以前にもウォークマンの名称が他社に使われた時に、ソニーがその排除を求めなかったことも判決理由の1つとして挙げられていました。商標権は誰が認め、どうやって維持されるものなのでしょう?みんなが使い始めたら既に普通名詞であり権利は認められないとすると、いいネーミングをしても損な気がします。XEROX(ゼロックス)はゼロックス社のコピー機の商標ですが、これは商標であることを早くから強く周知させたせいでしょうか、コピーの一般普通名詞としては定着しなかったように見受けられます。一方、カメラに付いているストロボは、米ストロボ・リサーチ社のエレクトロニック・フラッシュの商品名であり商標ですが、うるさく言わなかったせいかほぼ完全に普通名詞として定着しており、然しながらしばしば「実はストロボ社の商標で」と言われるので却って得をしているようにも思えます。尤もこのストロボ社が未だあるかどうかは定かではありませんが。微妙なもんですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。