日本の株価はどうしたら上がるか?私は景気が良くならなくても株価は上がり得ると考えています。GDPを100%とした時の、上場企業の時価総額の和は、アメリカでは約120%ですが、日本では約70%にしかなりません。日本の上場企業全体の時価総額和が、ゼネラル・エレクトリックや、マイクロソフト、ウォルマートのような会社の10社分しかないというのは信じ難いものがあります(つい9ヶ月前には、何と6社分しかありませんでした)。要は日本の本来の企業価値と株式時価総額の関係が、アメリカなどと較べてずれてしまっているように思えるのですが、これは日本に於いて株主価値を意識した経営が為されていないという、コーポレート・ガバナンスの違いから来る部分が大きいと思われます。逆に考えると、この部分を直すだけで、日本でもGDPの100%ぐらいまでは時価総額を戻せるのではないでしょうか。70%が100%になるとすると、これは約4割の上昇ですが、日経平均で言うと1万6000円を超えます。一方GDPを4割増にすることは、戦後の急成長期でもあるまいし不可能です。株価を上げたいならば、景気対策よりもむしろコーポレート・ガバナンスの是正の方が遙かに効果的であることを政府は恐らく理解していないでしょう。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。