JR東日本が東京駅上空の容積率の未利用分を売却するそうです。建造物の総床面積とその敷地の比率を容積率と言いますが、御存知のように地域によってその上限が決まっています。ところが2年前に新しくできた法律によって、歴史的建造物の景観を保つ目的で容積率を使い切っていない場合、隣接する建造物にその容積率を売却できるようになったそうで、今回はその適用第一号となる予定だそうです。
このような権利の売買は、COxなどの排出容認量の売買であれば合理的だと思います。環境保全の努力をした企業が得をし、努力不足の企業がペナルティーを受ける。しかも空中で混ざるので全体のCOx排出量のコントロールが可能です。しかし容積率は建造物の安全性確保の為にあるとしたら、隣のビルが低いからこっちのビルは高くてもいいという訳にはいかないでしょう。或いは容積率は、ビルが地震などで崩壊し瓦礫の山になる時にどれだけスペースに余裕があるか、という観点で決せられているのでしょうか。そうであれば頷けます。しかしそうであるならば、商業地の方が住宅地よりも瓦礫の山が高くてもいい(一般に商業地の方が容積率は高いから)ということになりますが、それはあまり合理的な理由があるようには思えません。謎です。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。