アメリカ出張から帰ってきてずっとバタバタと忙しくしていたせいか、或いは急に天候が暖かくなったせいか、どちらかは分かりませんがふと気づくと春は来ていました。昨日朝早くにテレビに出演した後、お昼過ぎからの東証アローズでのオリエンテーション・コミティーに出るまでの間、都心の裏通りをちょっと散策してみました。
六本木から溜池に抜ける途中、アメリカ大使館職員宿舎の裏手辺りは、高層ビルに囲まれているにもかかわらず、都心とは思えない穏やかさと風情があります。赤坂氷川神社という八代将軍吉宗が建てさせた神社があるのですが、その境内の作りはどこか郊外の大きな神社にいるような錯覚を起こさせる神々しさがあり、昔ながらの造作もよく保存されています。すぐ近くには忠臣蔵で有名な南部坂もあります。その界隈に、紅梅、白梅、沈丁花、椿がすべてまとめて咲き乱れていました。
「人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける」
古今集春歌に収められた貫之の歌ですが、沈丁花の匂いはいつも私を同じ場所に引き戻します。