約30年前に円が変動相場制に移って以来、長い円高トレンドの歴史でした。一旦80円をつけてから円安に戻したものの、やはり360円から100円台の下の方という基本的に長い円高傾向には変わりありません。今まで金融商品や経済に対する不安があると、いつでも答えは「やっぱり安心なのは郵便貯金」でした。しかしこの郵貯神話は実は長期円高トレンドと関係があるのではないでしょうか?もしここから円が150円、200円を目指して円安になるとすると、様々な不安から郵貯にお金を移しても、日銀券はいつも預けただけ返ってきますが、かつてヨーロッパに行けたお金でグァムとかにしか行けなくなるかも知れません。円安傾向に入ると、もっとお金は預・貯金から外貨資産や株式などのリスク・アセットに移り始めるのではないでしょうか?我が国における投資パターンの理由が、実は民族性でも何でもなく、単に為替の映しだったという仮定も面白そうですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。