マネックスが信用取引をやらない理由については「その1」「その2」として去年の2月5日、6日につぶやきに書きました。
個人投資家と他の市場参加者との間の情報量、情報速度、資金量などの格差が大きな理由です。私は元々外資系の証券会社でトレーディングを10年以上していたので、その経験に私の考えは基づいています。しかし昨日の業績発表の場で、より広いリスク回避手段の一つとして信用取引についても再検討する旨を述べました。これは考え方が変わった訳ではありません。今までも常に継続的に検討してきましたが、引き続きお客様からの要望もある中で、マネックスとしての信用取引への取り組みをもう少し明確にする責任があると考えました。ただ単に「信用はやらない」と言い続けても、世間ではオンライン証券が軒並み信用取引を提供しているので、数多くの方々が信用取引を結果として始めることになるでしょう。そしてその方々に対して、我々はマネックスの考え方を伝える術を失って行くかも知れません。当事者とならなければ影響を与えられないという場合もあります。再検討の結果、信用取引を導入するかも知れませんし、導入しないかも知れません。導入する場合であっても、それは「マネックス型の」「マネックスならではの」信用取引でなければいけないと思っています。暫く時間をかけて、お客様の御意見も聞きながら、きちんと考えていきたいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。