先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数は続落、創業板指数と香港ハンセン指数は反発となりました。上海総合指数は週を通して強かったのは2月3日(火)だけで、その他の日は弱い値動きでした。まず、先週もお伝えしましたが、2月1日(日)に発表された1月の中国公式製造業景況感指数が49.8と、12月実績の50.1や市場平均予想である50.2を下回り、2012年10月以来、初めて景況感の境目である50を割り込みました。このことで中国経済の先行きに対する懸念が膨らみ、週初から軟調なスタートとなりました。

2月3日(火)こそ、弱い経済指標を背景に追加金融緩和の期待が高まり、反発となったものの、2月4日(水)に発表された1月のHSBC中国サービス業景況感指数が51.8と12月実績53.4を大きく割り込み、6ヶ月ぶりの低水準となったことが嫌気されてすぐに反落。また、2月4日(水)には中国人民銀行が預金準備率を引き下げたものの、人民銀行研究局の陸磊局長が、今回の預金準備率引き下げは積極的な金融緩和の始まりではないとコメントしたことから金融緩和に対する楽観的な見方が後退し、週末にかけて下げ足を速めました。今週、20社以上のIPOが集中していることによる需給悪化懸念や2月8日(日)に発表される貿易統計を見極めたいとする見方も株価のマイナス材料となりました。ちなみに2月8日(日)に発表された貿易統計ですが、1月の中国の輸出(前年比)は3.3%減と、12月実績の9.7%増、市場平均予想の5.9%増を大きく下回り、輸入(前年比)も19.9%減と、12月実績の2.4%減や市場平均予想の3.2%減を大幅に下回っています。

香港ハンセン指数も上海総合指数と同じような値動きとなったものの、IPOが集中するといった需給懸念がないことや、ここ数ヶ月で上海総合指数ほど大きく上昇していなかったことから、前述の預金準備率引き下げを素直に好感する形となり、週としては反発して引けています。ただ、前述の通り、中国の貿易統計が予想以上に悪かったことから、今週は軟調なスタートになる可能性があると思います。今後の経済指標の発表スケジュールですが2月10日(火)に中国の1月の新規人民元建て融資額と消費者物価指数が発表される予定です。

コラム執筆:戸松信博