アメリカのエネルギー会社大手のエンロンが、帝人と共同で松山に小規模発電所を作るそうです。発電出力は僅か7万キロワット。これは中々興味深い動きです。エンロンは数百万キロワット級の発電所も各地に作る計画があるそうですが、電力供給の将来図は大規模発電所ではなく、数多くの小規模発電所かも知れません。何故なら電気は蓄えることと送ること(送電)が、もっとも効率が悪くてコストの掛かることであるからです。余計に作って蓄電してもどんどん放電していきますし、送電中もかなりのロスがある筈です。メインフレームの大型コンピュータから分散系のユニックスに移行してきたように、電力の世界も変わって行くでしょう。地球全体のエントロピーの増大も抑える方向のこのような動きは、ビジネスとしても環境保全としても意義の深いことだと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。