先週(10月19日週)の振り返り=米ドル/円は約1ヶ月続いたレンジを「下放れ」
世界的株安が拡大、長期金利は大きく低下=円高を後押しか
先週(10月19日週)の米ドル/円は一時156円に迫る水準まで下落し、約1ヶ月続いてきた157~159円のレンジを「下放れ」しました(図表1参照)。ではそれをもたらしたのは何だったのかというところから考えてみたいと思います。
先週(10月19日週)はAI関連の投資への懐疑的な見方などから、世界的な株安が一段と広がりました(図表2参照)。特にAI株高を象徴する株価指数と位置付けられているSOX(フィラデルフィア半導体株価指数)、そしてそのSOXと相関関係の強い日経平均などは7月の安値に迫るまで続落しました。
こうした中で、リスク資産から安全資産への資金シフトが進んだと見られ、世界的に長期金利は大きく低下しました(図表3参照)。世界的に長期金利が低下すると、日欧に比べて米国の金利水準が高いことから、基本的に金利差における米ドル優位は縮小します。そうした中で米ドル/円も下落が広がったということが基本でしょう。
日本の長期金利低下は円高要因=米ドル「買われ過ぎ」修正も
一時163円まで進んだ米ドル高・円安の動きは、基本的に日本の財政規律への懸念を受けた長期金利上昇と連動しました(図表4参照)。その意味では、日本の長期金利が上昇から低下に転じたことが、先週(10月19日週)の円高を後押しした可能性もあったでしょう。
また、米ドルは10月にかけて世界的長期金利上昇が続いた中で「買われ過ぎ」懸念が強まっていました。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションで試算)は、10月13日時点で買い越しが40万枚以上に拡大しましたが、これは経験的には「買われ過ぎ」懸念を示すものでした(図表5参照)。
その米ドル買い越しは、10月20日時点では34万枚に縮小しました。世界的な株安、リスクオフが広がる中で、「行き過ぎた米ドル買い」というリスクを縮小する動きとなったことも米ドル売りにつながった可能性があるのではないでしょうか。
今週(10月26日週)の注目点=週半ば以降は日米欧の金融政策発表が続く
株安はAIバブル崩壊なのか?
以上のように見ると、先週(10月19日週)、米ドル安・円高が156円割れに迫る動きとなったのは、基本的には株安拡大から波及した影響が大きかったということになるでしょう。そうであれば、この先の米ドル/円の行方も、世界的株安が鍵になりそうです。
その株安の中でも、AI株高を象徴する株価指数という位置付けになっているSOXは、6月から下落が始まり、その4ヶ月後の10月から、下落第2幕のような展開になっています。これは2000年からのITバブル崩壊局面におけるナスダック総合指数の値動きパターンに似ています(図表6参照)。
ITバブル崩壊局面において、ナスダック総合指数は、2000年7月から始まった暴落第2幕で、ピークからの最大下げ率を6割以上にまで拡大し、バブル崩壊による株価暴落が進行していることを決定付けました。このパターンを参考にすると、現在のSOXの動きは、AIバブル崩壊における暴落第2幕が展開している可能性があるだけに、株安の動きはまだまだ予断を許さないのかもしれません。
日米などの政治要因の影響にも要注意
今週(10月26日週)は10月28日が米国、10月29日がユーロ圏、そして10月30日が日本と、金融政策発表が続く予定となっています。金融政策の変更は予想されていませんが、株価、長期金利ともに不安定な展開が続いていることから、それらへの影響が注目されるところでしょう。
また11月3日に予定されている米中間選挙が近付く中で、トランプ政権の与党・共和党の劣勢が伝えられていることもあり、選挙前のサプライズ、「オクトーバー・サプライズ」なども要注意かもしれません。そして日本では臨時国会での消費税減税を巡る議論が本格化するなど、日米ともに政治要因が金融市場に及ぼす影響にも目が離せない状況が続く見通しとなっています。
今週(10月26日週)の米ドル/円は154~158円で予想
米ドル/円は先週(10月19日週)、約1ヶ月続いた157~159円中心のレンジ相場を下抜けました。今週(10月26日週)は世界的株安などをにらみながら、まずはこのレンジ「下放れ」が「ダマシ」か否かの見極めが注目されるでしょう。
個人的には、株安は一時的ではなくさらに広がる可能性があると考えているので、そうであれば米ドル/円も基本的には上値を切り下げ、さらなる下値の模索に向かう可能性が高いのではないかと考えています。以上を踏まえ、今週(10月26日週)の米ドル/円は154~158円で予想します。
