高知の話は今日で一旦おしまいです。土曜の晩は高知にいたのですが、土地によってお酒の飲み方も違います。皆、席に着いての食事は早々に切り上げ、というか急いで食べ物はお腹に詰め、杯とお銚子を持ってテーブルを回り始める。献杯といって相手に杯を差し出して酒をつぎ、それを受けた人はそのお返しをする。そしてそれが何度も何度も繰り返される。皆テーブルの脇の畳の上で、テーブル越しよりもずっと近くに寄って座り、ちょっと小さ目の杯を次々に交わし、これまたちょっと小さめのお銚子をどんどん開けていく。そして仲居さんはどんどんお銚子をまとめて運んでくる、といった躍動感溢れる雰囲気の中で楽しく飲んで話すのでした。
私は常々各地の酒はその土地の食べ物と一緒に食べると一番おいしいと思っています。例えば北陸のお酒の中にはそれだけ飲むと甘すぎてちょっと頂けないものが、甘えびとかいかとか、新鮮で甘くておいしい御当地のネタをつまみに飲むと最高のものがあります。この様にお酒は土地柄に合わせて造られているのでしょう。飲み方も然り、その土地の人柄が濃く反映すると思います。献杯の続く夜は温かくて楽しい触れ合いでした。