3%を超えてきた10年債利回り=円安、協調介入前に戻す可能性も
日本の長期金利である10年債利回りが、3%の大台を超える動きとなってきた。7月末の日米協調介入などを受けて一時155円台まで米ドル安・円高が進み、その後160円まで米ドル高・円安に戻ってきたのは、この長期金利上昇に連れるように見える。
足下で両者にはややかい離も出てきたが、それは円安阻止介入への警戒が影響していると考えられる。ただこのまま長期金利上昇が続くなら、米ドル高・円安も協調介入が行われる前の163円台まで戻る見通しとなってきた(図表1参照)。
介入効果を財政規律への懸念が帳消しにする状況続く
米ドル/円は、2025年半ば頃から長期金利の上昇への連動性が強くなった。長期金利上昇が続く中で、2026年4月以降、米ドル高・円安が進み、1ドル=160円を超えたところで、日本の通貨当局はゴールデンウィークと7月末から8月初めにかけての2局面で合計27兆円の米ドル売り・円買い介入を行った。しかし、間もなく米ドル高・円安が再燃したのは、日本の長期金利の上昇が続いたためのように見える(図表2参照)。
このような長期金利上昇は、おもに高市政権の「責任ある積極財政」が、その言葉とは裏腹に財政規律が懸念を招いた影響とみられている。以上からすると、為替介入により円高へ反転させても、それを高市政権の財政政策を不安視した債券売りや円売りが帳消しにする状況が続いているということになりそうだ。
日銀早期利上げ期待で日米金利差は縮小=ただ円高への反応鈍い
一方で日米金利差(米ドル優位・円劣位)は、協調介入前の水準から比較的大きく縮小した。金融政策を反映する日米2年債利回り差は、協調介入前には2.9%近く拡大していたが、一時は2.5%を割り込むまで縮小した。主因は日銀の早期利上げ期待だろう。
8月末のジャクソンホール会議でのウォーシュFRB(米連邦準備制度理事会)議長発言を受け米早期利上げ観測が浮上したことで日米金利差は再拡大したが、それでもこの数ヶ月の関係を踏まえると、160円以上への米ドル高・円安の戻りを示すものではないようだ(図表3参照)。
日銀は9月を含む年内2回の追加利上げを行う可能性があるとの見方が有力になっている。ただ金融政策を反映する2年債利回りはすでに1.8%まで上昇し、政策金利の1%を0.8%も上回っていることを考えると、早期かつ大幅な追加利上げを先取りしている可能性が高いと考えられることから、さらなる市場金利上昇に伴う日米金利差縮小をもたらす効果は限られるのではないか(図表4参照)。
ベッセント「今すぐリフレを止めるべき」=対日政策干渉強める
複数のメディアがここ数日、ベッセント米財務長官は、日本に対して「円高になる政策」を要請したと報道した。具体的には日銀の早期利上げを期待するとともに、財政の持続可能性を示すことの重要性を指摘し、さらに「日本は今すぐリフレ政策を止めるべき」とより具体的に発言したとの報道もあった。
これは、協調介入により円安阻止に関与したことから、それを成功させるべく、金融・財政政策への「干渉」も強めている結果と考えられる。ただ「責任ある積極財政」は、高市政権の柱だけに、その見直しにどこまで踏み込むかは、まだ不透明だろう。
