2026年夏の協調介入はなぜ円高転換に結びつかなかったのか
・2026年7月末の日米協調介入で米ドル/円は一時155円台まで下落したが、その後すぐに反発し円安方向に戻った。2022年(151円→127円)や2024年(161円→139円)の日本単独介入が一旦は20円超の円高をもたらしたのと対照的に、今回の為替介入では円高効果が限定的だった。
・日米金利差は、2022年初の水準まで縮小している。日米金利差と米ドル/円相場の連動性を踏まえると、米ドル/円が120~130円程度となっても不思議ではない。貿易・サービス収支の赤字が2022年以降縮小している。日米金利差縮小や原油高や経常収支悪化といった一般的説明だけでは、足元の歴史的な円安水準を説明しにくい。
・レイバー・デー(2026年9月7日)明けは、相場の方向性が出やすい時期である。足元の円安基調が続くのか、円高転換の糸口が生じるのかが焦点になっている。
円安の主因は日本の長期金利上昇(財政規律懸念)との連動
・直近の米ドル高・円安は日本の長期金利の上昇と高い相関を示す。収録日である9月1日も10年物国債利回りが一時3%超となり、並行して円安が進行した。
・背景には財政規律への懸念がある。リフレ策色の強い積極財政、消費税減税観測、概算要求でのシーリング(歳出上限)撤廃といった方針が債券売り・円売りを誘発し、長期金利上昇と円安が同時進行している。
・この構図が続く限り、為替介入は効果が一時的にとどまりやすい。155円からの反発局面も、長期金利の再上昇が円安回帰を後押しした。
風向きに変化の兆し:対日圧力強化と巨額介入の累積が円高要因になり得る
・米国側のけん制が強まっている。ベッセント米財務長官は非公式で日本側に「トラスショック」の再来を懸念する趣旨を伝え、8月30日に行われたあるインタビューでは「リフレ政策であった『アベノミクス』はおそらく終わりを迎えたと考えている」と発言し、高市総理のリフレ推進をけん制した。
・日米が「カレンシーアライアンス」と形容されるほど連携を強め、為替以外の政策にも相互の目配りが及ぶ環境になりつつある。厳密なマネタリー・ユニオンではないが、政策運営への外部制約が高まり、過度なリフレ・財政拡張にブレーキがかかる可能性が円を下支えし得る。
・2026年の為替介入の累積規模は既に約27兆円に達し、2024年の約15兆円を大きく上回るペースである。過去には2003~2004年に計約35兆円の介入が為替の需給を変えた前例があり、円安が一服すれば、累積フローが円高方向への反転を後押しする余地がある。
