BTC(ビットコイン)急反発で1200万円台回復、トランプ米大統領の発言などが追い風に
先週(8月17日週)後半、BTCは突如として急反発し、日足の重要なネックラインを一気に上抜けました。その勢いは強く、BTC/JPYは1200万円台を回復しています。
これほど短期間で大きく上昇する局面は多くなく、大口資金が一気に動き始めたような値動きでした。最初のきっかけとなったのは、米財務省が長期債の流動性支援を目的とした買い戻しについて、1回あたりの上限を20億ドルから「少なくとも40億ドル」へ倍増すると発表したことです。対象期間は9月9日から11月4日までとなります。
この発表を受け、長期金利の上昇抑制や市場流動性の改善を意識した買いが広がり、アルゴリズム取引も反応した可能性があります。BTC/JPYは上値のネックラインだった1100万円付近を突破しました。
その後、8月19日にホワイトハウスで開かれた暗号資産・テクノロジー業界幹部との会合で、トランプ米大統領が暗号資産市場構造法案「CLARITY Act」の成立を改めて求めたことも追い風となり、BTCはさらに上値を伸ばしました。
演説自体は、直ちに市場環境を一変させるような新政策を含むものではありませんでした。しかし、急速な上昇局面でショートカバーを巻き込みやすい地合いとなっていたこともあり、上昇に弾みがついたとみています。
さらに、その後も現物市場では買いが継続したように見受けられ、BTCは高値を切り上げる展開となりました。
BTC(ビットコイン)は200日移動平均線を突破、長期マネー流入の契機に
BTC/JPY日足チャート分析です(図表1)。
パラボリック的な上昇を開始しており、個人的にはやや腑に落ちないほどの急反発という印象です。しかし、200日移動平均線(橙色)を力強く突破した以上、テクニカル面の改善は無視できません。少なくとも「底打ちを想定しながら買い始める局面」に移行したと判断し、筆者も打診的に買いトレードを開始しました。
過去の4年サイクルを振り返ると、大幅調整後に200日移動平均線を明確に回復した局面は、その後の中長期的な底打ち確認につながるケースが多くありました。今回も同様のシグナルが点灯したことで、筆者と同じように「待っていたが、買わざるを得ない」と判断する投資家が増えた可能性があります。
上昇スピードが速かったため、買い遅れた投資家は相当数存在すると考えます。こうした局面では押し目が浅くなりやすいため、深い調整だけを待つよりも、比較的高値でもポジションを小さく分けて打診買いしていく戦略が有効だと考えます。
1300万円付近は5月高値にあたります。ここを明確に上抜ければ、今回の底打ち判断の確度はさらに高まるでしょう。今回の4年サイクル調整は、従来のサイクルと比較すると短期で終わる可能性が出てきました。もっとも、2025年のピークから数えれば約8ヶ月の調整期間を経ています。
第4四半期からの買いを狙っていた投資家は多かったと思いますが、マーケットはその想定よりも一足先に動き始めたように感じます。個人的には、このタイミングの反転を十分に読めなかった点は反省材料です。
ETH(イーサリアム)のトランザクションは価格低迷下でも着実に拡大
ETH/JPY日足チャート分析です(図表2)。
ETH/JPYも30万円前後から一気に40万円近くまで上昇し、短期間で30%を超える大幅反発となりました。
価格低迷の裏で進んでいたETH(イーサリアム)の実需拡大
注目したいのは、価格が低迷している間もETHのネットワーク利用が着実に拡大していた点です。2025年秋のETHメインネットのトランザクション数は1日150万~170万件前後でしたが、2026年6~8月には200万件台半ばから後半で推移する日が増え、300万件を超える日も確認されています。
比較する基準日により差はありますが、2025年秋の水準に対して足元の処理件数は概ね5割前後増えている計算です。一方で、ETH価格は2025年高値から大幅に調整したままでした。価格とネットワーク利用の方向感が大きく乖離していた点は、今回の反発を考えるうえで重要な材料だったと考えます。
つまり、トランザクション数だけでETHの「本質的価値」を断定することはできないものの、少なくとも価格低迷の裏側でネットワーク利用というファンダメンタルズの一部が大きく改善していたことは確かです。
特に中東情勢が悪化した時期とネットワーク活動の増加が重なっている点は興味深く、銀行アクセスが制約される地域で、ステーブルコインやDEXなどオンチェーン決済への需要が高まった可能性は一つの仮説として考えられます。ただし、トランザクション増加の地域別要因を直接示すデータではないため、この点は今後さらに検証が必要です。
今後、中東情勢の混迷が長期化し、加えて米国の財政不安が強まるようであれば、法定通貨や銀行システムの外側で価値を移転できるETHチェーンの実需が一段と注目される可能性があります。
テクニカル面でも高まる「ボトムアウト」の期待
今回、ETHの上昇率がBTCを上回った背景には、こうした価格とオンチェーン活動の乖離が見直されたことも一因として含まれているのかもしれません。話をテクニカル分析に戻すと、ETHもBTCと同様に200日移動平均線(橙色)を力強く上抜けました。
ETHは2025年8月に高値をつけており、2026年の安値を6月と仮定すれば、約10ヶ月にわたって調整していたことになります。4年前の2022年もETHは6月に大底をつけ、その後は長い底固めを経て調整局面を脱していきました。今回も6月安値を起点に200日移動平均線を明確に回復したことを踏まえると、BTC以上に「ボトムアウトの可能性が高まった」と判断しやすいチャート形状になりつつあります。
今週(8月24日週)の暗号資産(BTC・ETH)動向のポイント
・BTC/JPYは1100万円付近のネックラインと200日移動平均線を一気に突破し、底打ちを意識せざるを得ない局面に。
・米財務省の長期国債買い戻し拡大とホワイトハウスの暗号資産関連会合が相場心理を改善し、ショートカバーも上昇を加速。
・1300万円付近の5月高値を突破できれば、BTCの中長期的なボトムアウト判断の確度はさらに高まる。
・ETHは価格低迷中にもメインネットのトランザクションが2025年秋比で大幅に増加しており、価格との乖離が今回の見直し買いにつながった可能性がある。
・ETHも200日移動平均線を明確に上抜けており、2022年のサイクルと照らしても6月安値が大底となった可能性を意識したい。
