先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は続伸、香港ハンセン指数は反落となりました。中国本土市場では、今週は上海総合指数が弱い動きとなり、深セン総合指数、創業板指数が逆に強い動きとなっています。上海総合指数ですが12月8日(月)は5日続伸となり、3年7ヶ月ぶりの高値を更新し、上海、深セン両市場を合わせた売買代金も過去最高を更新した先々週末の1兆510億元からは減少したものの、9608億元と高水準でした。5日に開かれた中央政治局会議で来年の成長維持に向けて積極的な財政政策の継続が確認されたことが材料となっています。しかし、中国政府は株価急騰について、調整局面に入るリスクについて指摘していました。

翌12月9日(火)も中央経済工作会議や追加金融緩和への期待感から上昇し、一時は4年1ヶ月ぶりの高値を付けました。しかし、その後に急落。これは8日遅くに、中国当局がレポ取引(金融機関の短期の資金貸借)に利用される社債の担保基準を厳格化したためです。具体的には格付けが「AAA」の社債、または発行体格付けが「AA」以上でない限り、レポ担保としての新発社債の受け入れを一時中止するという内容です。この措置は最近の株価の急騰に絡み、レバレッジ(借り入れによる投機)の加熱によって市場が一段と急騰し、その後急落して大量の不良債権が発生するなどのリスクを防ぐためのものと思われます。

ともあれ9日(火)は中国の株式、債券、通貨は全て急落しました。しかし、10日(水)に11月の中国の消費者物価指数が1.4%と予想よりも低い事が発表されると、金融緩和期待が再燃して株価は反発。11日(木)は今週から始まる12社のIPOに伴うポジション調整により反落したものの、12日(金)には再び中国の経済指標が弱かったことから追加金融緩和期待が膨らみ、反発しました。この日発表された中国の経済統計ですが、11月の中国の小売売上高が11.7%増、鉱工業生産が7.2%増、1-11月の固定資産投資が15.8%増となり、特に鉱工業生産の伸び率が弱くなっている点が金融緩和期待の再燃につながっています。

一方、香港ハンセン指数は大幅反落となっています。9日(火)に中国本土株式市場の急落の影響を受けて急落した他、香港のデモ隊が市内道路から強制排除されたことや、米国株が軟調であったことが悪影響を及ぼしました。セクター別ではテンセント(00700)などのIT関連銘柄が弱くなる一方で、金沙中国(01928)などのカジノ株が小反発となっています。今週は12月16日(火)に12月のHSBC中国製造業PMI(速報値)が発表されます。

コラム執筆:戸松信博