モトリーフール米国本社 – 2026年7月7日 投稿記事より
米国市場では、一部の投資家が株式の購入に慎重になっているようです。シラー景気循環調整後PER(CAPEレシオ)は42倍と過去最高水準に近づいており、一部のAI関連銘柄の過熱感から、投資家の間では調整局面入りの懸念が高まっています。
このような状況下においても、依然としてAI関連では割安な銘柄が存在します。実際、一部の銘柄は過小評価されているように見受けられます。そのため、流動性の確保に引き続き重点を置くという前提を踏まえた上で、本稿で紹介するテック株3銘柄が投資対象として魅力があるかどうかをみていきましょう。
1.メタ・プラットフォームズ[META]:AIへの転換と巨額投資
フェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズ[META](以下、メタ)は転換期を迎えています。同社の売上高の99%超がデジタル広告事業からもたらされています。一方で、毎日35億6000万人が同社のプラットフォームのいずれかにログインしており、これは世界人口のかなりの割合に相当します。こうした強みを生かし、メタは、AIにより積極的に軸足を移すことで将来の成長の基盤を築こうとしています。
メタは、膨大なデータ資産を活用してAIモデルのトレーニングを行う方針です。同社は競合他社が保有していない個人データを保有しているとみられるため、この取り組みは成功する可能性が高そうです。さらに、同社は長期的なメタバース戦略をAIと結び付けるとともに、巨額のインフラ投資によって「ネオクラウド企業」となるための基盤を築いています。
その実現に向けて、同社は2026年だけで1150~1350億ドルの設備投資を行う計画です。それでも、810億ドルの手元流動性と、過去12ヶ月間で460億ドル近いフリーキャッシュフローを確保していることから、こうした積極投資を十分に賄うことができます。
さらに、同社株の株価収益率(PER)は21倍まで低下しており、S&P 500指数の平均32倍を大きく下回っています。こうした割安なバリュエーションと市場での強固な地位を踏まえると、メタは新規投資家にとって魅力的な投資先と言えるでしょう。
2.トレード・デスク[TTD]:高い顧客維持率が強み
トレード・デスク[TTD]は、投資家の期待に応えられなかったAI関連銘柄のように見えるかもしれません。メタ[META]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]との厳しい競争により売上高の伸びは鈍化しており、投資家は、デマンドサイド型のデジタル広告企業である同社が今後も業界内で競争力を維持できるのか疑問視しています。
また、広告運用プラットフォームを「Solimar」からAI駆動型の「Kokai」へ移行した際には、顧客の反発に遭いました。利用者からは、従来よりも透明性が低く、広告キャンペーンが理解しにくい形で自動調整されるとの不満が寄せられました。
その結果、かつては年率20%を上回る成長が続いていた売上高成長率が2026年第1四半期は12%まで低下し、アナリストは2026通年で10%の増収にとどまると予想しています。
しかし、投資家は成長鈍化を嫌気していますが、同社の売上高は増加を続けています。競争が激化する中でも顧客維持率は依然として95%を上回っています。この状態が10年以上続いており、これは、同社のデマンドサイドプラットフォームが現在でもデジタル広告業界の中で確たる地位を保っていることを示唆しています。
さらに、同社株のPERは22倍まで低下しています。これは一時的に100倍を超えた2025年夏よりもはるかに低い水準であり、現在トレード・デスクはバリュー株の領域に入っていると思われます。急速な業績回復は期待しにくいものの、現在の成長ペースを維持できれば、株価も徐々に持ち直す可能性があるでしょう。
3.オラクル[ORCL]:クラウド成長が支える企業価値
オラクル[ORCL]は、ソフトウェアおよびデータベース管理の大手企業という立場から多角化を進め、よりAIインフラ関連銘柄としての性格を強めています。AI分野で成功を収める中、2025年にはオープンAIとの契約により受注残が3000億ドル増加し、それと共にオラクル株は過去最高値を更新しました。
しかし、その後はオープンAIが契約条件を履行できるだけの健全な財務状態にあるのかという疑念が生じるにつれ、投資家はオラクルに対して懐疑的になり始めました。オープンAIとの契約発表以降、受注残は6380億ドルまで大きく増加しているにもかかわらず、契約発表以降にオラクル株はほぼ半値まで下落しています。
実際、オラクルの総負債額は1300億ドルに達しています。また、同社は2026年度だけで560億ドルの設備投資を行う計画で、それらの現金支出に投資家が不安になるのも無理はありません。
それでも、極めて可能性の低いシナリオですが、仮にオープンAIが明日突然事業を停止するような事態になったとしても、オラクルは依然として最大3300億ドルの受注残が残ると推定され、その規模であれば、さらなるインフラ投資を正当化するには十分です。今や同社最大の収益源となったクラウド部門は、2026年度第4四半期(5月31日終了)に47%の増収を達成しました。
最後に、オラクルのPERは株価反落により24倍まで低下しており、これは2022年以降で最も低い水準です。最終的に、景気動向がどうなろうと、このバリュエーション水準では同社株の下値余地は限られるはずであり、今は同社株をポートフォリオに加える好機と言えるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Will Healyは、トレード・デスクの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、アルファベット、アマゾン、メタ・プラットフォームズ、オラクル、およびトレード・デスクの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示ポリシーを定めています。
