先週の中国株ですが上海総合指数と香港ハンセン指数は反発、深セン総合指数、創業板指数は反落と、先週とは逆の動きになりました。特に創業板指数は大きな下落となっています。先週は週初に、11月17日(月)から滬港通(香港と上海の証券取引所の相互取引)が開始されることが発表され、対象である上海市場と香港市場の株価が上昇しました。中国本土では、滬港通が外国人投資家の資金を中国本土市場に呼び寄せるとの思惑から、外国の機関投資家が好みそうな銀行株などの大型株が強い展開となりました。その他、滬港通のメリットを享受できるセクターとして証券セクターが活況でした。

しかしその反面、滬港通とは関係のない深セン総合指数、創業板指数は売られる展開となりました。将来的に深セン株式市場も対象となる可能性はありますが、前述のように外国人投資家の資金を引き寄せる銘柄は大型優良株だと考えられているようで、先週は特に、個人投資家に人気のあるITや通信セクターの小型株が売られる展開となりました。これが深セン総合指数、創業板指数が反落している理由です。なお、先週発表された中国の経済指標ですが、10月の中国消費者物価指数は1.6%増と予想どおりだったのですが、その後発表された10月の中国小売売上高は11.5%増、1-10月の中国都市部固定資産投資は15.9%増、10月の中国鉱工業生産は7.7%増といずれも予想を若干下回り、今回は株価の足を引っ張りました。おそらく中国経済がスローダウンすれば、外国人投資家からの資金流入に悪影響がでるとの思惑なのではないかと思います。

香港市場も滬港通に対する期待感から堅調に推移しました。特に香港証券取引所(00388)やテンセント(00700)、滬港通の決済銀行に決まった中国銀行(03988)、友邦保険(01299)銀河娯楽(00027)といった滬港通の関連銘柄が上昇し、相場を牽引しました。ちなみにテンセント(00700)は2014年第3四半期の決算が予想よりも悪かったにも関わらず、滬港通の開始により中国本土からの資金流入が期待できるといった理由から大きく上昇しました。今週は11月20日(木)に11月のHSBC中国製造業景況感指数(速報値)が発表され、注目が集まるところです。

コラム執筆:戸松信博