高市政権誕生後、円安の主因となった財政規律への懸念
米ドル/円は、2025年半ばにかけては、日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小に沿う形での下落が続いていた。ところが、2025年後半以降は、日米金利差の更なる縮小を尻目に上昇が再燃し、両者の関係は大きく変わった(図表1参照)。
ではなぜ、日米金利差縮小を尻目に米ドル高・円安に向かったのか。このような2025年後半からの米ドル高・円安を比較的うまく説明できそうだったのは、日本の長期金利上昇だった(図表2参照)。
日本の長期金利(10年債利回り)は、2025年10月の高市政権誕生以降一段の上昇に向かった。そして、そうした長期金利上昇につれる形で、米ドル/円は日米金利差縮小を尻目に一段高に向かったように見えた。ではなぜ、米ドル/円は日米金利差よりも日本の長期金利に反応するようになったのか。
円安阻止で注目される「消費税ゼロ」公約の取り扱い
2025年10月の高市政権誕生からの長期金利の一段の上昇は、高市政権の掲げる「責任ある積極財政」への不信が主因との見方が少なくなかった。その象徴的存在が、高市総理が公約の柱に据えた消費税ゼロ政策だろう。
以上からすると、円安を止めるためには、高市政権が自らの財政政策に対する金融市場からの不信感を払しょくすることが必要ということになるだろう。その上では、象徴的な存在である消費税ゼロ公約の取り扱いも注目されることになりそうだ。
その消費税減税については、ゼロではなく1%へ引き下げる案で、与野党でつくる国民会議が6月中に中間とりまとめを行う予定だったものの、それが先送りされるなど、ここに来て先行き見通しがやや不透明になってきた。もともと識者の間では反対論が強かったことに加え、世論調査でも賛否が拮抗するなど、このまま公約通りに進むか少し怪しくなってきた。
円安阻止の本格再開、消費税減税の行方も鍵に
日本の通貨当局は、最近にかけては米ドル高・円安が160円を大きく超えても為替介入を見送っているとみられるが、これは消費税減税などの高市政権の財政政策の行方を見守っている面もありそうだ。
基本的には、160円を大きく超える円安を容認しない方針に変わりはないものの、財政規律への懸念が続く中での円安阻止は中途半端になりかねないため、消費税減税の行方や骨太の方針などを見極めた上で円安阻止を本格再開する可能性もある。
