「トラスショック」再来懸念とされる「長期金利上昇=円安」
トラス英首相の財源の曖昧な減税策の発表をきっかけに、英国で通貨・債券・株の「トリプル暴落」という「トラスショック」が起こったのは、2022年9月のことだった。「責任ある積極財政」と説明しながらも、財政規律が懸念されている高市政権の財政政策は、「トラスショック」再来の可能性がこれまで警戒されてきた。
一部の報道によると、2026年1月、ベッセント米財務長官は、片山財務大臣との非公式な会談の中で、「高市総理はメイやトラスのようになるのではないか」との見方を伝えたという。高市総理の経済政策が、「トラスショック」の再来、すなわち「高市ショック」となることを強く憂慮した発言とみられた。
実際に、そうした懸念を裏付けるように、高市政権が続く中で、日本の債券価格は大きく下落し、それに連れるように円安も広がった(図表1参照)。これを見ると、「トラスショック」再来前夜の状況が展開しているようにも見える。
「トラスショック」との違いは歴史的株高
その一方で、2022年の「トラスショック」が起こる前と、最近の大きな違いは、株価の動向だろう。2022年は、インフレ対策の世界的な利上げを受けて株価は下落傾向が続いていた(図表2参照)。そうした中で、トラス政権の減税策は、さらなる株価、債券、通貨の「トリプル暴落」をもたらすきっかけとなった。
これに対して、高市政権に対する財政規律への懸念から通貨の下落は続いたものの、これまでのところ、株価は歴史的な上昇相場を展開している。債券と通貨の下落という警告にもかかわらず、高市政権が積極財政の方針を変えずに進めるのは、高い支持率とともにこの株高が支えになっている可能性があるだろう。
高い支持率と歴史的株高の行方が鍵か
その株高が株安に転じ、通貨、債券と合わせ「トリプル安」になるようなら、「高市ショック」もいよいよ現実味を帯びることになるのではないか。そうなった時、高市政権の政策転換は、「高市ショック」の回避に果たして間に合うのだろうか。
高い支持率と歴史的株高が続く中で、それを信認の証と受け止めるなら、高市政権の政策方針が変わることはなく、それを懸念したとされる債券価格の下落と円安が止まらない状況が続く可能性があるだろう。その場合は債券安と円安に飲み込まれるように株安へ転換、「高市ショック」が起こることで政策転換に追い込まれる「トラスショック」と同じ経路を辿ることになってしまうのかもしれない。
