過去1ヶ月で急拡大した投機筋の米ドル買い越し
CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションで試算)は、先週(6月8日週)にかけて買い越しが30万枚近くに拡大した(図表1参照)。米ドル買い越しが30万枚以上に拡大したのは、これまで限られていた。その意味では、買い越しの30万枚以上は、米ドルの「買われ過ぎ」圏と言えそうだ(図表2参照)。
米ドル買い越しは、2月末からのイラン戦争が展開する中で拡大したが、それは4月前半で一段落し、5月半ばにかけて米ドル・ポジションはほぼ中立な状態になっていた。ただその後米ドル買い越しを拡大する動きが再燃すると、最近にかけてそれが加速し、一気に米ドル「買われ過ぎ」懸念も強くなってきた。
FRB利上げ観測が米ドル買いを加速させた可能性
米ドル買いが最近にかけて急拡大したのは、インフレ再燃への懸念からFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ観測が広がった影響が大きかったのではないか。米ドル買い越しが拡大した5月半ばは、米国の金融政策を反映する2年債利回りが4%を大きく上回り出したタイミングでもあった(図表3参照)。米国の政策金利であるFFレートの誘導目標上限である3.75%を、米2年債利回りが0.25%以上上回り始めたのは、まさに利上げを織り込んだという意味になる(図表4参照)。
以上のように見ると、インフレ再燃を懸念したFRB利上げを織り込んだ米金利の上昇が米ドル買いの拡大をもたらし、一気に米ドルの「買われ過ぎ」懸念も強まるほどになってきたということではないか。
円「売られ過ぎ」と米ドル「買われ過ぎ」同時発生=2024年「歴史的円安」と類似
ところで、米ドル買い越しが30万枚前後まで拡大したのは、2024年以降では2024年4~7月と2025年1月に見られた。このうち前者の主役は円の売り越しであり、後者においては円売り越しは限られていた。
2024年4~7月は、円の「売られ過ぎ」と米ドルの「買われ過ぎ」がほぼ同時に発生する中で、一時161円までの「歴史的円安」、「歴史的米ドル高」が起こった。足下の円売り越しは、その2024年7月以来の水準まで拡大してきた。そして、米ドルにも2024年7月以来の「買われ過ぎ」懸念が強くなっている。
以上のように、円「売られ過ぎ」と米ドル「買われ過ぎ」が同時に発生する中で160円を超える米ドル高・円安が起こっているという点においても、足下の状況は「歴史的円安」と呼ばれた2024年4~7月の構図に似ていると言えそうだ。
