日本株買いの一方で円安に伴う差損回避で円売りの可能性

日経平均株価は、3月末には5万円割れ目前まで下落した。しかし、その後上昇が再開すると、6万円を軽々と突破して、一気に7万円に迫るまで一段高となった。その間、米ドル/円は基本的に155円以上の米ドル高・円安圏での推移が続いた(図表1参照)。こうした状況から、海外投資家の日本株投資では、円安に伴う為替差損を回避するための円売り(いわゆる為替ヘッジ)も同時に行われたケースが多かったのではないか。

【図表1】米ドル/円と日経平均(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ここに来て、怒涛の株高も一段落し、株安が広がり始めた。海外投資家の日本株売りは、普通なら円売りにつながりそうだ。ただ、すでに見てきたように、この間は円安に伴う為替差損を回避するため、日本株買いと同時に為替取引では円売りを行っていた可能性がある。その場合、日本株売りはその円売りポジションの解消を通じて、円買い戻しが発生する可能性もあるのではないか。

日本株売りはヘッジ外しの円買い発生か

CFTC(米商品先物取引委員会)統計における投機筋のポジションは、海外投資家の代表格でもあるヘッジファンドの取引を反映しているとされる。その円ポジションは、4月以降売り越しが急拡大した。

CFTC統計の投機筋の円売り越しは、3月半ば頃までは5万枚未満にとどまっていたが、4月以降は大きく拡大した。日本のゴールデンウィーク中には円買い介入が行われ、一時的に円売り越しは縮小した。ただ、それを除けば、10万枚前後の高水準での推移が続いてきた。その上で、日経平均が一気に6万8000円まで上昇し、高値を更新した6月初めには、円売り越しも13万枚近くまで一段と拡大した(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

投機筋の円売り越し拡大は、上述のように日経平均が5万円割れを免れた後、一転して6万円を大きく上回る一段高に向かったタイミングとも重なる。その意味では、海外投資家の日本株買い拡大を受けた為替差損回避、いわゆるヘッジの円売り増加も、この投機筋の円売り越し急拡大に影響したのではないか。

アベノミクス局面の日本株買い・円売りとは違う

海外投資家が日本株を買う一方で、為替取引では円安に伴う為替差損回避で円売りを行う組み合わせは、いわゆるアベノミクスの株高・円安局面で急増した。これは、アベノミクスが大胆な金融緩和を背景に、円安を容認しつつデフレからの脱却を目指したことから、株高の大前提が円安だったためである。

そのアベノミクスの継承を自負する高市政権ではあるが、すでに円安阻止介入を再開するなど、必ずしも円安を株高の前提にしているわけではなさそうだ。今回の場合、海外投資家の日本株買い・円売りは、あくまで円安予想が前提になっているのではないか。その意味では、相場観が円高に変わる場合も、為替ヘッジを外すことで円買い戻しに転換する可能性はあるだろう。