介入でも米ドル155円割れず=「イラン危機」受けた米金利上昇が主因

日米金利差(米ドル優位・円劣位)は5月に入ってからも縮小が限られ、むしろ今週(5月11日週)は一時、4月末に日本の通貨当局が円安阻止介入を開始したとみられた時の水準以上に拡大した。短期的には、このような日米金利差が、日本の当局による断続的な米ドル売り・円買い介入にもかかわらず、円高への反転が限られた主因だろう(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円と日米金利差(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ではなぜ、日米金利差は5月に入ってからも拡大傾向が続いたのか。それは米金利の上昇傾向が続いたことが大きく、それをもたらしたのはいわゆるイラン危機継続を受けた原油価格の高止まりの影響が大きいだろう(図表2参照)。以上のことから、イラン危機と原油価格の高止まりが変わらなければ、為替介入だけでの円安是正には短期的にも限りがあるのではないか。

【図表2】米金利とWTI(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

日本単独で円安阻止に成功した2024年までとは違う

そもそも、2024年までの円安阻止とその反転は、円安の「行き過ぎ」を意識的に活用したようにもみられた。行き過ぎた動きは、きっかけ次第で修正に向かう。つまり、2024年までの日本の介入は、円安が「行き過ぎ」になったところを狙い、「行き過ぎ」の反動に乗じる形で円安の阻止と反転に成功したということだったのではないか。そうした観点からすると、今回の介入開始は、2024年までとはかなり違っている。

2022年、2024年に日本単独で円安阻止介入を開始したのは、米ドル/円が5年MA(移動平均線)を3割程度も上回り、かなり米ドル高・円安の「行き過ぎ」懸念が強い局面だった。これに対して、今回は米ドル/円の5年MAかい離率が14%程度と、米ドル高・円安の「行き過ぎ」懸念が2024年までの介入局面ほど強くない中での介入開始となった(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円の5年MAかい離率(1990年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

これは、より短期の移動平均線との関係でも同様だ。2024年までの介入開始は、米ドル/円の120日MAかい離率が5%以上のところで行われたが、今回介入が開始したとみられたのは同かい離率が2%程度のところだった(図表4参照)。

【図表4】米ドル/円の120日MAかい離率(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

2022年、2024年と、日本単独の為替介入でも円安の阻止とその反転に成功したのは、円安の「行き過ぎ」をうまく活用したことが一因だったとしたら、今回円安の「行き過ぎ」懸念がまだ強くない中での日本単独介入だけで円高への反転が簡単に進まないのも、ある意味では当然かもしれない。では、今回の日本単独での円安阻止は「失敗」となってしまうのか。

160円での円安阻止にこだわるなら日米協調など必要か

1月23日、介入の前段階とされる「レートチェック」を日米協調で行ったことからすると、今回160円程度での円安阻止を日本単独で行うのは難しいとの自覚が当局にもあったように感じられる。そうであれば、あくまで160円程度での円安の阻止と反転を目指すなら、日米協調など日本単独以上の対策を想定している可能性があるのではないか。